
水茄子は、大阪・泉州地方が誇るみずみずしい高級食材。皮が薄く柔らかいため、生で食べてもえぐみが少なく、漬物やサラダに最適です。
本記事では、そんな水茄子の魅力や旬の時期、露地栽培とハウス栽培の違い、こだわり農家の取り組みまで詳しくご紹介します。

水茄子の特徴
- 柔らかく薄い皮と豊富な水分
果物のようにみずみずしく、皮は非常に薄く柔らか。口当たりと喉ごしは極上。
- 灰汁が少なく生食も可能
通常の茄子と異なり灰汁が少ないため、生で食べてもエグみがなく、ぬか漬けにも最適。
- サラダなど料理の幅広い用途
他の食材との相性も良く、サラダや和え物にも使える万能野菜。
- 歴史と流通の背景
元々は地産地消で農家の夏の水分補給用。現在は冷蔵輸送の普及で全国に流通。
水茄子の美味しい旬の時期
- ハウス栽培の旬:5月初旬~6月・7月の梅雨ごろまでが収穫の最盛期、栽培自体は3月下旬から11月初旬まで
→気温が安定していて、最もみずみずしく美味しい。近年の気温上昇により旬が早まってきました。
- 露地栽培の旬:6月下旬~8月初旬が収穫の最盛期、秋は9月~11月も旬になります。栽培自体は5~11月中旬まで
→ 日照と気温の影響で色味と風味に変化。
- 「水なすの日」は5月20日
→各地でイベントが開催され、水茄子の魅力が広く伝えられる。
- 気候変動の影響
→ 旬や栽培期間の短縮。冬季の栽培は可能だが収穫量は限定的。
水茄子の栽培方法|露地とハウスの違い・プロ農家の工夫

水茄子の栽培の流れは土づくり、育苗、畝への苗の植え付け、葉の剪定、花の受粉作業(とん付け)など収穫まで丁寧な管理作業が必要です。
水茄子の栽培方法には大きく分けて2つあり、露地栽培とハウス栽培があります。それぞれの栽培方法によって水茄子の質や特徴が変わります。
露地栽培
露地栽培は水茄子をビニールハウスを使用せずに露天で風雨に晒されながら、一般的な野外の畑で栽培する方法です。
- 栽培期間
5~11月中旬
- メリット
設備コストが抑えられるので初期投資や維持費などが少なくローコスト
家庭菜園など小規模でも気軽に栽培しやすい
- デメリット
風など外的刺激を受けて、水茄子の皮が厚くなり、肉質が硬くなる傾向
剪定や虫害に気を配り、小まめな手入れや気配りが必要
温度管理が出来ない
- 栽培の工夫
畑の外周に「ソルゴー(ソルガム)」という背の高い植物を植えることで、風を防ぎ、水茄子を物理的な傷から守ります。さらに、ソルゴーはアブラムシを引き寄せる性質があり、それを狙って集まってきたカメムシや益虫が害虫の駆除を助ける「バンカープランツ」の役割も果たします。
- 露地栽培の水茄子の特徴
ハウス栽培のものに比べると噛んだ時に皮の硬さを感じることが多く、ぬか漬けにすると皮だけ漬かって実の奥まで漬からないことがあるため、用途としては切り分けて果肉を露出させた調味液漬による水茄子の浅漬けや料理などに向いています。
✔ 露地栽培の水茄子はこんな方におすすめ
- 調理して火を通す料理に使いたい
- 漬物でも歯ごたえを楽しみたい
ビニールハウス栽培
水茄子は風など外的刺激の影響を受けやすいので、特徴を最大限に生かすには人の手でよりコントロールしやすいハウス栽培が最適だと言えます。
- 栽培期間
3月下旬から11月初旬(栽培農家によっては8月中まで)
- メリット
気温や風雨の影響を受けにくい
土壌の管理がしやすい
温度や水の量を調節しやすい
温度管理ができるので通年栽培も可能
- デメリット
設備費や維持費などコストが掛かる
- 栽培の工夫
ボイラーを使用してハウス内の温度を上げることが出来るので、気温が低い時期には加温栽培(促成栽培)で水茄子の成育のスピードを上げることも出来るので、農家にとっては出荷に間に合わせることが出来る利便性もあります。
この加温が出来ることでビニールハウスでは冬場でも栽培が可能ですので旬の時期より数はかなり少なくなりますが、年中水茄子を栽培する農家も存在します。
- ビニールハウス栽培の水茄子の特徴
ハウス栽培の水茄子は薄い皮や果肉の柔らかさ、みずみずしい果汁といった水茄子本来の特徴がはっきりとあらわれるため、食感を活かしたぬか漬けやサラダなど生で食べるのに向いています。
✔ビニールハウス栽培の水茄子はこんな方におすすめ
- 水茄子を生で食べられる料理に使いたい
- 水茄子本来のみずみずしさや柔らかい食感を味わいたい
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項目 | 露地栽培 | ハウス栽培 |
---|---|---|
栽培環境 | 風雨や気温の影響あり | 人工的に制御された環境 |
特徴 | 果皮が厚め、実がしっかり | 果皮が薄く、非常にみずみずしい |
コスト | 低コスト | 高コスト(設備・管理) |
栽培期間 | 5月~11月中旬 | 3月下旬~11月(通年も可能) |
向いている用途 | 浅漬けや加熱料理 | ぬか漬け、生食 |
こだわり農家の取り組み
「水茄子は土づくりが命です。微生物が活発に働く環境を整えることで、病気に強く、美味しい実が育ちます。」
— 山本さん(水茄子農家)
長年、水茄子農家を営んでいて「水茄子は土づくりが命」と語る山本さんは、微生物が活発に働ける環境を整え、病気に強い木を育てる独自の方法を実践しています。使用する水も自然に近い溜池から引き、落ち葉も再利用するなど、土壌を循環させる工夫を重ねています。
いずれも水茄子にとって良い微生物を活かすことが重要だということで、水茄子を乳酸菌たっぷりの糠床に漬けて美味しく風味が長持ちするように環境を保つという弊店のこだわりと考え方が共通していることが分かり、そのことに感動し目からウロコでした。
ハウス栽培の水茄子は皮が柔らかくて歯切れがよく果肉も柔らかいので、しっかり実の中まで徐々に漬かっていくので、特にぬか漬けに最適です。
弊店ではハウス栽培の水茄子農家から卸して頂いており、美味しい水茄子作りの栽培と水茄子を漬ける美味しいぬか床の製造、農業と漬物製造お互いがそれぞれに注力し素晴らしい相乗効果が生み出せていると自負しております。

水茄子の美味しい召し上がり方
生で食べる
水茄子は生食できるため、りんごのようにそのまま齧ることも出来ますが、簡単にヘタを切り落として縦に均等に切り分けて醤油などを掛けた方が美味しく楽しめるでしょう。
その他にもサラダや刺身など、特に生ハムとの相性はメロンに匹敵するほど最高です。
水茄子の生ハム巻き

水茄子のほのかな甘みと生ハムのちょうどいい塩味が絶妙なハーモニーを生み出し、水茄子の豊潤な果肉の食感とそこから湧き出る瑞々しい果汁が舌を楽しませてくれます。大阪府泉州では料理屋さんや居酒屋メニューとしてとても人気があります。
漬物にする
水茄子のお漬物の種類としては以下があります。
- 水茄子のぬか漬け
- 水茄子の調味液漬(塩味・リンゴ酢・ワイン)
- 水茄子の奈良漬け
- 水茄子のキムチ
水茄子のお漬物で一般的に市販されているものは、ほとんどがぬか漬けまたは調味液漬です。
この二種類は水茄子の風味や特徴を生かしやすいので、最もメジャーな漬物の加工方法です。
水茄子の調味液漬にはプレーンな塩味と近年ではリンゴ酢漬けやワイン漬けというものもあります。
リンゴ酢漬け、ワイン漬け、それぞれさわやかなりんごの酸味やワインの風味が感じられます。
奈良漬けとキムチも挙げましたが、販売しているお店はほとんどありません。水茄子を召し上がるのに特に美味しいのはぬか漬けです。
市販の調味液を使った浅漬けの素を使用しても楽しめますが、単に塩を振りかけてたっぷりの塩で漬ける塩漬けは水茄子の特徴である瑞々しさを損なうのでおすすめしません。
水茄子は糠漬にするとそのほのかな甘みに加え、糠床の酸味や旨味が上手くマッチングして素晴らしい味のハーモニーが生まれます。
お酒との相性が非常によく、晩酌のビールや日本酒とのコンビは最高です。

ぬか漬けの場合は程よく皮がしなっと更に柔らかくなっているので、ヘタを切り落として、2~3センチくらい切り口に十字または放射状に切れ込みを入れて、そこから親指を滑り込ませて手で割くと水茄子独特の果肉の食感が舌に楽しく美味しいので、ぜひお試しください。
ぬか漬けは発酵の過程でヨーグルトでおなじみの乳酸菌が豊富に発生し、腸内環境を整えるほか、美肌にも良いとされています。
\泉州水茄子のぬか漬けを試してみませんか?/ |
和え物にする
水茄子は生食ができる茄子であることはお伝えしてきましたが、和え物の具材としても優秀です。
水茄子の和え物は果肉の調味料との親和性と柔らかさが本領を発揮します。
特にごま油との相性は抜群でそのとろけるような風味はほっぺたが落ちること間違いなしです。
ポン酢を使ったレシピも併せて下記をご覧ください。
水茄子の塩昆布ごま油和え

ごま油と塩昆布を使った水茄子のレシピです。
水茄子とごま油との相性は抜群でその他調味料との合わさった風味とまろやかな食感は頬っぺたが落ちるほど美味です。
ご飯のお供として最高のお箸が進むおかずレシピです。
水茄子とごま油との相性は抜群でその他調味料との合わさった風味とまろやかな食感は頬っぺたが落ちるほど美味です。
ご飯のお供として最高のお箸が進むおかずレシピです。
焼く・煮物にする
水茄子はもちろん焼いたり、煮たりしても美味しいこと間違いなしです。
最もおすすめは牛肉と煮る甘辛煮です。牛肉からでた出汁と煮ることにより柔らかくふわふわとした口の中で甘辛く溶けるような食感の水茄子は絶品です。
その他にも肉厚なステーキや味噌煮、グラタンなどチーズを使用した調理方法もおすすめです。
水茄子と牛肉の甘辛煮

水茄子と牛肉を煮込んだ甘辛煮のレシピです。
こちらも相性抜群で牛肉の出汁がしみ込んだほろほろと解けるような柔らかい水茄子のとろける食感が素晴らしい。
柔らかい水茄子だからこそ味わえる豊潤な味わいをお楽しみください。
こちらも相性抜群で牛肉の出汁がしみ込んだほろほろと解けるような柔らかい水茄子のとろける食感が素晴らしい。
柔らかい水茄子だからこそ味わえる豊潤な味わいをお楽しみください。
ゴーヤと水茄子の肉味噌炒め

水茄子に肉味噌の旨味とゴーヤの苦味のアクセントが効いたおすすめのレシピです。
豆板醤やコチュジャンなどのピリ辛とごま油の香ばしさも相まって抜群のメインになるおかずです。
やさしい水茄子の食感とちょうどいい苦味とピリ辛の刺激が食を進めてくれます。
豆板醤やコチュジャンなどのピリ辛とごま油の香ばしさも相まって抜群のメインになるおかずです。
やさしい水茄子の食感とちょうどいい苦味とピリ辛の刺激が食を進めてくれます。
水茄子のツナチーズ焼き

こちらも水茄子にチーズを使ったイタリアンなレシピです。
ツナとチーズのコンビが水茄子と絡み合った豊潤で美味しいメニューです。
乾燥パセリの薬味のアクセントを添えて食感のコントラストも楽しめます。
ツナとチーズのコンビが水茄子と絡み合った豊潤で美味しいメニューです。
乾燥パセリの薬味のアクセントを添えて食感のコントラストも楽しめます。
まとめ|水茄子の魅力を堪能しよう
本記事のまとめ
- 水茄子は生で食べられるほど皮が柔らかくみずみずしい
- 露地・ハウスで風味や栽培期間が異なる
- 旬は5月〜8月、秋にも収穫される
- こだわり農家の工夫で品質が守られている
大阪府以外では百貨店やデパートで購入することが主な入手の手段でしたが、今はインターネットが発達したおかげで水茄子は通販でも簡単に手に入ることが可能になりました。
農産物のポータルサイトや今やメルカリなどのフリマサイトでも直販で農家さんから購入することができます。
水茄子は4~10月頃に市場に出回りますので、その間に各販売サイトをチェックするのが良いでしょう。
以下は一例ですが、これらのサイトで生の水茄子を購入することが可能です。